自分の言葉が、結局一番おもしろい

知らない間に組織に染まる怖さ

かつてぼくが会社勤めをしていた時のことです。
ある時、とても(いい意味で)個性ある人材が中途入社してきました。彼女は自分の世界観を持ち、自分の価値を発揮していました。とてもやる気にあふれていたので、ぼくも彼女の活躍をとても楽しみにしていました。

ただ、彼女が入社してからすぐに、悩みを口にする用になります。その悩みは、「社内が女子高ノリで、気持ち悪い。みんなYesマンで、シビアさが全く足りない。自分はもしかしたらやっていかれないかも」というものでした。

彼女がそういうのはとてもよくわかりました。当時その組織は、どう前向きに考えても「最悪の組織」でした。誰も自分の仕事に責任を持たないし、その場にいない人の悪口をみんなで言っているような、どうしようもない組織だったと思います。

ぼく自身も、この組織の気持ち悪さを痛感しながらも、なかなか変えることができなかった。

すると、しばらくしてこの中途入社の彼女に変化が現れます。どう変化したか? 

「染まった」のです。

なんと、あれだけ気持ち悪がっていたまわりに同調し始め、そして彼女自身もその気持ち悪い組織の一員になっていきました。彼女の個性はなくなり、仕事もしなくなり、口をひらけば不満が出てくる人になってしまいました。

「朱に交われば赤くなる」といいますが、組織に染まるって怖いです。もしかしたら彼女自身は自分が染まっていたことに気づいていなかったかもしれません。自分が知らない間に組織に染まり、自分を失ってしまうこれは恐ろしいことだなと思うのです。

かく言うぼくも、その組織に染まっていたと思います。
不平不満が多くなり、人のせいにすることが多くなり、自分が変わろうとはしていませんでした。

何が言いたいかっていうとね、相当意識し続けないと、知らない間に自分の常識が塗り替わり、考え方や価値観が変わってしまうということなんです。

そしてそれを防ぐためには、常に「いま、自分が常識として考えていること」を疑うことが大事だと思うのです。朱に交われば赤くなる。何が赤くなるのかと言えば、「自分の中の常識」が赤くなるのだと思います。そして、それが赤くなっていくこと(周りから影響を受けて変わっていること)に、自分で気づかない。

自分の中の常識がどんどん変わっていきます。もし悪い変化が起きている場合には、自分で自分を修正しなきゃいけません。それには「今、自分が考えていることは本当に正しいのか?」と自問することだろうと思います。

先日も、ある企業の社員さんと仕事で関わることがありました。とても有名な企業ですが、とにかく世間の評判が悪い。話をしてみると、プライベートではみんなとてもいい人のように見えます。でも、組織人になったとたん、会社の色に染まってしまう。そしてむしろ「会社の色」を濃くすることに一役買っています。

こうならないようにするために、自分の組織とは別の居場所を作ることが大事だと思います。一つの組織しか知らなければ、その場の常識が、あなたの常識になってしまう。でも複数の場を持っていたら、常識がいくつもあることに気づき、(もし自分がズレていたら)自分のズレにも気づきます。

ちょっと思うところがあって書いてみました。

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