自分の言葉が、結局一番おもしろい

「公務員になりなさい。クビにならないから」

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先日、東京山手線の中で、高校生(受験生)の男子と、そのお母さんが会話をしていました。進路の話をしていたのですが、このお母さんが息子さんに対し伝えた言葉がなんともなんともでした。

それは「公務員になりなさい。公務員はクビにならないし、給料も右肩上がりだから。だから公務員に強い大学に行きなさい」でした。

公務員がクビにならない(リストラされない)と考えるのは、これからの時代かなり無理がありますし、給料が右肩上がりというのも、事実と異なります。公務員の給料は下がってます(cf. 国家公務員の給与改定の推移

 

でも、ぼくが残念なのは、その誤解じゃないんです。

「クビにならないから」「給料が右肩上がりだから」という理由で、息子にその道を薦める考え方が残念なんです。たしかに、クビになる不安はない方がいいですし、右肩上がりの給料も魅力といえば魅力でしょう。

でもね、だからその職につけというのは、本末転倒だと思うのですよ。息子君の年齢を考えれば、彼はあと50年以上、もしかしたら60年以上は働かなければいけないでしょう。その仕事を「クビにならないから」で決めるのが、果たしていいことなんだろうか。絶対そんなわけはないよね。

誤解がないようにお伝えしますが、公務員がいけないのではありません。「クビにならないから」で公務員を選ぶのがいけないんです。

 

日本人は、仕事の反対を「休み」と捉える風潮が強いです。一方で、ヨーロッパの人は、仕事の反対を「遊び」と定義しています。日本人は、仕事が基本で、仕事をするための「休暇(休憩)」をとります。一方で、海外では、遊ぶために仕事をして、人生を楽しむという考え方です。

もしこの息子君が「休み」を「仕事をするための休憩」と捉えたら、彼はこの先ずっと「すべてが仕事のため」になります。その仕事を「クビにならないから」で選んだら大変なことになっちゃうよ。

 

また、一部の人は、「仕事=苦痛」という頭で世の中を見ているかもしれませんが、逆に「何をしている時が一番楽しい?」と聞かれて「仕事!」と即答する人たちもいます。この差は何でしょう? このお母さんは、息子君にどちらのタイプになってもらいたいと思うでしょう?

 

親の考え方は、子どもを大きく導いてしまう。それは良い方向だけでなく、悪い方向にも。あの親子が違う価値観に触れる機会がすぐに来ればいいなぁ。

 
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