こんにちは、木暮太一です。
今日は、コミュニケーションには「行間」がある、という話です。人によって、「理解しやすい言葉」が違うのと同じように、「わかりやすい論理」、「わかりやすい情報量」も違います。同じことを説明する場合でも、すべての情報を1から順番に説明した方がいい相手もいれば、それまでの過程はすべて共有済みだから結論だけ言えばいいというケースもあります。
たとえば、既に事情が分かっている相手には
1(○○の件ですが)
→5(結果、こうなりました)
と説明すれば、それでいいでしょう。でも、まったく事情を知らない人には、
1(○○の話なんだけど)
→2(それがどうなって)
→3(こうなって)
→4(こんなこともあったけど)
→5(結果、こうなった)
と説明した方がいいですね。
相手に伝えるべき内容を伝えず、説明不足があると、そこで相手の理解はストップしてしまいます。「これくらい分かっているだろう」「こんなことは『常識』だから」と考えて安易に説明を端折る人をたまに見かけますが、これはよくありません。説明の質を一気に低下させてしまいます。「わかりやすい説明」をする際に、致命傷になりかねません。
ただ難しいのは、受け手にとって「当たり前すぎる情報」を伝えると、これはこれで分かりづらい説明になってしまうということです。たとえば、大人を相手に「九九」の説明をしたら、相手は「バカにするな」と思われてしまいます。相手が既に知っていることを繰り返し説明すると、説明が冗長になり、また、話の主旨を捉えづらくなります。情報量は、少ないよりは多い方が理解の助けになりますが、説明が長すぎると、重要でない部分が多くなり、「結局何が言いたいのか?」が分からなくなってしまうのです。
ましてや、日々忙しく仕事をしている人は、「とりあえずポイントだけ知りたい。説明が長いと面倒だ」と思ってしまうでしょう。つまり「さらに上の説明力」を身につけるには、「相手が既に持っている情報量」と「相手の理解力」を加味して、絶妙な加減にしなければいけないんですね。
ニュースの解説がうまいテレビのキャスター、わかりやすい授業で定評のある先生などは、視聴者や生徒のことをしっかり理解して、「この場では何を伝えるべきか」を把握しています。だから、相手に伝えるべき情報に優先順位をつけて、相手にぴったり合った説明ができているのです。
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