自分の言葉が、結局一番おもしろい

こんな文章はわかりづらい!(>。<)

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こんにちは、木暮太一です。今日は「文章でコミュニケーション能力アップ」をテーマに考えます。今回は<<「やってはいけない」編>>です。こんな文章はわかりづらい! こんな文章を書くと伝わらない! 読みづらい! です。

何に気をつけて文章を書けばいいのかと言うと、注意すべきポイントは、大きく分けて【文章構造】と【単語】の2つあります。文章の構造がわかりづらいと、読み手に伝わりません。そして、文章の構造がわかりやすくても、単語がわかりづらいと、読み手に伝わりません。両方に注意を払う必要があるんです。

 

◆文章構造編

まずは、文章構造についてです。

【ポイント1】順接の「が」、テーマだしの「は」を使ってはいけない!

文章の中に一度は出てくる助詞の「が」と「は」も、使い方しだいで文章を分かりにくいものにしてしまいます。
次の2つの文章をご覧ください。

A「紙は木が原料となっていますが、現代の生活には欠かせないものです」
B「今年の異常気象による被害は、政府は特に農業や漁業分野への影響を懸念し、調査をしている」

Aの文章に使われている「が」は、接続助詞です。ふつう、文章に「が」が出てくると、逆説を思い浮かべますね。「私の家族は全員お節料理が好きだが、私は嫌い」「兄は足が速いが、弟は速くない」というように、前半と後半で逆の内容の文章をつなぐときに「が」が使われます。

でも、接続助詞の「が」はそうではありません。「そして」や「また」と同じような用法(順接)で使われます。このような使われ方は意外と多くありますが、一文の前後が逆説でつながれているのか順接でつながれているのか分からなくなり、読む方は混乱してしまいます。この「が」を使わずに、前半と後半で文章を区切った方が、分かりやすい表現になります。

【改善案】
A.「紙は木が原料となっています。また、現代の生活には欠かせないものです」

 

一方、Bの文章の「は」も同じです。説明者は、「これから●●について話をします」というつもりで「は」を使っています。ワンクッションおいて話を切り出しているんですね。でも、読む方は、主語が「被害」と「政府」のふたつあるようにも思え、混乱してしまうのです。また、日本語では、主語が省略されるケースも多いので、「テーマ出しの『は』」の部分が主語に見えてしまうこともあります。

たとえば、Bを少し変えた、次の文章です。

「今年の異常気象による被害は、特に農業や漁業分野への影響を懸念し、調査をしている」

これでは、まるで「異常気象による被害」が主語のように見えてしまいます。でも、「異常気象による被害が、調査している」では、全く意味が通りません。このようなときには、「は」を使わず、文章を分けて、最初の文章でテーマ出しをします。

「次は、異常気象の被害についてです。政府は特に農業や漁業分野への影響を懸念し、調査をしています」

とすれば、内容が伝わりやすく、また文章もすっきりします。

 

【ポイント2】二重否定を使ってはいけない!

人間の頭は、否定形をイメージできないようです。たとえば、「走る」という動作はすぐにイメージできますが、「走らない」という動作はすぐにはイメージできません。「走らない」と言われて思い浮かべるのは、「歩いている」か「立ち止まっている」状態でしょう。でも、それは「走らない」状態ではありませんね。

たとえば「食べる」「寝る」「でんぐり返しをする」もすべて「走らない」に該当します。つまり、「○○しない」という動作はないんです。そのため、「○○しない」という動作は、イメージしにくいわけです。否定形を使うと、ただでさえイメージしにくいのに、「二重否定」となると、もっとイメージしにくくなります。

A「男性が女性用の洋服を着ないとも限らない」
B「正月に、カレーライスを食べることもないことはない」

いかがでしょう? どちらもすぐにはイメージしにくいですね。このように文章を複雑に見せる二重否定ですが、元をただせば、一度「裏」にひっくり返したものを、さらにもう一回ひっくり返しているだけで、結局「表」をあわしています。であれば、最初から否定形を使わず、肯定形で説明をすればいいだけです。

【改善案】
A「男性でも、女性用の洋服を着るかもしれない」
B「「正月に、カレーライスを食べることがある」

 

【ポイント3】主格の「の」を使ってはいけない!

日本語の「の」には、いろいろな使い方があります。「私の机」「彼の主張」のように、「所有」をあらわす「の」の他に、

「私の行った場所には、雪が降っていた」

など、「主格」の「の」があります。しかし、「の」は所有格のイメージが強いため、主格として使っていても所有格として捉えられがちです。だから、「の」が「主格」で使われると、混乱を招き、文章を理解しづらくしてしまうのです。
この場合、「の」を「は」や「が」に置き換えるだけで、文章が非常にすっきりします。

【改善案】
「私が行った場所には、雪が降っていた」

これは比較的単純な例です。このくらいの文章だったら、「の」のままでも理解できるでしょう。でも次はどうでしょうか?

「彼の買ったのは、彼女の先日買ったのと同じだった」

さっと読んだだけでは、分かりづらいと感じますよね。所有格の「の」と主格の「の」が一文の中に混在しているからです。そこで、主格の「の」を「が」に変えるだけで、非常に分かりやすくなります。

「彼が買ったのは、彼女が先日買ったのと同じだった」

人は「の」を見ると、どうしても「所有」をイメージしがちです。明らかに主語の一部であったとしても、すんなり意味を理解してもらえるわけではありません。主格の「の」は、簡単に「は」や「が」に言い換えることができるので、「主語に『の』は使わない」という意識を徹底してください。

 

◆単語編

ここからは単語についてです。わかりやすい文章構造になっていても、単語がわかりづらければ、伝わりません。

【ポイント4】具体的な動作を表さない動詞を使ってはいけない!

本来、動詞とは、動作を表すものです。「歩く」「立つ」「食べる」など、私たちの誰もがその具体的な「動き」をイメージできます。ところが、日本語の中には、具体的な動作を表さないな動詞というものがあります。そして、この動詞は抽象的で、それゆえに、様々な場面に使えてしまいます。その結果、私たちの周りには、この「動作を表さない動詞」がたくさん現れるようになりました。

そして、これらの動詞を文章に使うと、文章が一気に分かりづらくなります。たとえば、「コミュニケーションする」という動詞です。ふだん、何気なく使っている言葉ですが、よくよく考えてみると、モヤモヤしたものが残ります。
そもそも「コミュニケーション」は「会話」ではありません。辞書を引くと、「伝達されるもの」「伝達する活動」などと書いてあります。誰かに何かを伝達する行為を「コミュニケーション」と言うようです。

ただ、ここまで解読しても、「何を伝達するのか」「どうやって伝達するのか」など具体的なイメージは湧いてきませんね。でも、日常的には「会社の雰囲気を改善するためには、もっとお互いコミュニケーションする必要があります」というようなことが言われます。その時は、なんとなく分かった気になりますが、では実際に「会社の雰囲気を改善するためには何をすればいいのか」と聞かれると、よく分かりません。

なぜかというと、この動詞の意味が分からないので、結局言われた内容を理解できていないのです。同じように「ちゃんとする」という動詞も、動作を表していません。「ちゃんとしなさい」とは、親が子供に対してよく発する言葉ですね。子供のマナーが悪かったり、他人に迷惑を掛けそうになっている時に、「ちゃんとしなさい」と言って、子供を叱ります。

でも考えてみると、「ちゃんとする」という動作はありませんよね。電車の中で騒いで周囲に迷惑をかけているのであれば「ちゃんとする=静かにする」、座席の上で寝転んだりしていたら「ちゃんとする=まっすぐ座る」という意味でしょう。だったら、この場合、親は子どもに自分が望んでいる行動をそのまま伝えたほうがいいですね。「騒ぐのを止めなさい」「起きてまっすぐ座っていなさい」と、動作を表す動詞を使って行動を指示したほうが、子供は理解しやすいはずです。

 

【ポイント5】無生物主語を使ってはいけない!

友達が、結婚した
ライオンが、草原を歩く
宇宙人が、地球にやってきた

これらの表現は、仮に身近で実際に起きていなくても、内容はすぐに理解できます。なぜなら、頭の中で、「主語」が行動している様子をイメージしやすいからです。ところが、この主語の部分が「無生物主語」になると、とたんに「主語」の行動がイメージしにくくなります。たとえば、

不確実性がビジネスチャンスを生む
税金の存在が企業の体力を奪う

などです。
「不確実性」「税の存在」は生物ではありませんので、本来「ビジネスチャンスを生む」ことも「企業の体力を奪う」こともできません。そのため、頭の中でイメージしにくくなるのです。この書き方のほうが知的に見えるためか、なんだか重要なことが書かれているように思えます。でも、そう思えるだけにすぎません。また、話や文章が複雑になればなるほど変換するのが難しくなります。

 

【ポイント5】英語をできるだけ使わない!

先日、車を運転しながらラジオを聴いていたら、某運送会社のCMが流れました。

「当社のCSRは~」

と始まったので、驚いてしまいました。「CSR」とは、「企業が社会に対して果たすべき責任(Corporate Social Responsibility)」のことです。この企業は、「当社は、自社が社会的に果たす責任としてこんなことを考えています。非常に理念が高い会社です」と言いたくて、このCMを作ったのだと思います。

しかし、「CSR」という言葉を理解できる人は、そう多くないでしょう。これも注意深く聴けば、文脈から、「この会社は、こんなことに取り組んでいて、ビジネス以外にも社会貢献しようとしているんだな」ということが理解できます。でも、日本語で表現できるものを、わざわざ英語にすることで、かえって伝わりづらくしているのです。説明する際に、「英語(英単語)を使うだけで、分かりづらくなっている」といことを自覚しましょう。そして、日本語で表現するようにしましょう。

 

【ポイント6】日本語で言い換えられるカタカタ語は使ってはいけない!

同じように、私たちが日常で使っている言葉の中には、多くのカタカナ語があります。「ディナー」や「ラジオ」のような、すでに「日本語化」した英語もあれば、「オーダーメイド(英語では custom-made)」「リベンジ(英語ではreturn match)」など、じつは英語話者に通じない和製英語もあります。後者も、すでに日本語化していますね。
こうした日本語化した英語はともかく、カタカナ語は極力使わない方がいいです。

というのは、カタカナ語を使うと、なんとなく分かった気にさせるものの、本当ところは理解されないことが多いからです。カタカナ語を使いたがる人は、往々にしてそれを連発するので、「分かったつもりでよく分からない」状態が積み重なって、聞いている方は結局ちんぷんかんぷんになってしまうのです。

「わが社は、ダイバーシティを重視し、ワークシェアリングの遂行と従業員のモチベーション管理にコミットしていく。一方で、マーケットの動きにスピード感を持って対応できるよう、各ディヴィジョンのモニタリングを強化していく」

社長の訓辞で、こんなメッセージを聞かされとしましょう。ほとんどの人が具体的に何がこれから行われるのかイメージができず、「分かったつもり」で終わってしまうはずです。ここに使われているカタカナ語は、次のようにすべて日本語で言い換えが可能です。

ダイバーシティ→個人差
ワークシェアリング→業務分担
モチベーション→やる気
コミット→注力
マーケット→市場
スピード感を持って→迅速に、すぐに
ディヴィジョン→部署
モニタリング→点検・管理

場合によっては、カタカナ語を使わざるを得ないこともあるでしょう。でも、そこはぐっとこらえて、心づもりとしては、「絶対にカタカナ語は使わない」という意識で臨むべきです。

 

いかがでしょうか? 文章テクニックは多岐にわたりますが、ここにリストアップした項目だけでも、文章力が上がります。ぜひ取り入れてみてください。

 

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